遺言書の検認は、相続を進めるうえで欠かせない手続きです。
とはいえ、「そもそも検認ってなに?」「どんな書類が必要なの?」と疑問に感じる方もいらっしゃると思います。
本記事では、遺言書の検認手続きの流れ、必要書類について解説します。
遺言書の検認とは
遺言書の検認とは、家庭裁判所が遺言書の存在や状態を確認し、偽造・改ざんを防ぐための手続きです。
相続人に対して遺言書の存在や内容を通知する役割も担っており、自宅などで保管されている自筆証書遺言や秘密証書遺言が対象となります。
遺言書の検認に必要な書類
遺言書の検認を申し立てる際には、あらかじめ以下の書類を準備しておく必要があります。
- 検認申立書
- 遺言書の原本(封がしてある場合は未開封のまま)
- 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)
- 相続人全員の戸籍謄本
あわせて、以下の準備も必要になります。
- 収入印紙(遺言書1通あたり800円)
- 家庭裁判所からの返送用切手(必要枚数は裁判所ごとに異なる)
遺言書の検認手続きの流れ
遺言書の検認手続きの流れは、以下の通りです。
1. 家庭裁判所への申し立て
2. 検認期日の調整(相続人全員への通知)
3. 裁判所での検認(開封)
4. 検認済証明書の交付
それぞれ説明します。
1.家庭裁判所への申し立て
遺言書を発見したら、まず家庭裁判所に検認の申し立てを行います。
申し立ては「遺言者が最後に住んでいた地域を管轄する家庭裁判所」で行う必要があります。
書類の提出は郵送でも可能ですが、不備があると手続きが長引く可能性があるため、内容をしっかり確認してから送ってください。
2.検認期日の調整(相続人全員への通知)
申立てが受理されると、家庭裁判所から検認期日調整の連絡がきます。
通常、申立てから数週間〜1か月程度で検認期日が決まり、日程が相続人全員に通知されます。
3.裁判所での検認(開封)
当日は、相続人が揃った後に家庭裁判所の職員によって遺言書の検認が行われます。
なお、家庭裁判所では遺言書の内容を確認しますが、この段階ではその内容が有効かどうかの判断は行いません。
遺言書の有効性については、別途審理が必要となる点に注意が必要です。
4.検認済証明書の交付
遺言書の検認手続きが完了すると、遺言書の原本とともに「検認済証明書」が家庭裁判所から交付されます。
この証明書は、相続登記や金融機関での手続きなど、遺言書を正式に使う際に必要となる重要な書類です。
再発行には手間がかかるため、大切に保管してください。
まとめ
遺言書の検認は、相続を円滑に進めるために欠かせない重要な手続きです。
事前に必要な書類や流れを把握しておくことで、余計な手間やトラブルを避けることができます。
申立てや書類の準備に不安がある場合は、当事務所までお気軽にご相談ください。