03-5206-3405

遺留分の放棄とは?メリット・デメリット、注意点など

  1. 浦本法律事務所 >
  2. 相続財産に関する記事一覧 >
  3. 遺留分の放棄とは?メリット・デメリット、注意点など

遺留分の放棄とは?メリット・デメリット、注意点など

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に認められる、最低限の相続財産取得割合をいいます。
上記法定相続人は、遺留分を侵害された場合に、遺留分に相当する金額を取り戻す請求、すなわち遺留分侵害額請求をする権利を有しています。
この制度は、一定の相続人の生活を保障し、相続人間での相続財産の公平な分配の確保を趣旨として設けられました。
本稿では、遺留分の放棄について詳しく見ていきましょう。

遺留分の放棄とは

遺留分の放棄とは、遺留分を家庭裁判所の許可を得て放棄する手続きのことをいいます。
遺留分の放棄をするということは、遺留分を侵害されても、遺留分侵害額請求を行わない、という意思表示のようなものといえます。

遺留分の放棄のメリット

①相続トラブルの発生を防止できる

遺言によって特定の相続人にどの財産を相続させるかを指定しても、それが特定の相続人の遺留分を侵害する場合、相続人間で遺留分侵害額請求に関する紛争が発生する可能性があります。
もっとも、遺留分を放棄させておくことで、このような親族間のトラブルを防止することができます。

②被相続人の希望通りに遺産を相続させることができる

上記の通り、遺言や贈与のみでは、死後に遺留分権利者からの遺留分侵害額請求によって、特定の者へ多く財産を残したいという希望を実現することができない可能性があります。
遺留分を放棄させると、希望通り、特定の相続人へ遺産を集中して取得させることが可能です。

③生前の遺留分放棄の場合、代償を受け取ることができる

後述しますが、生前に遺留分放棄をする場合、家庭裁判所の許可が必要となり、許可の判断における重要な考慮要素の一つとして、被相続人から遺留分権利者へ充分な代償が行われているかどうか、というものがあります。
遺留分権利者としては、生前に放棄した場合、早々に代償相当の財産を受け取ることができるという点で、一定のメリットがあるといえます。

遺留分の放棄のデメリット

①遺留分権利者の代襲相続人も遺留分侵害額請求をすることができなくなる

代襲相続とは、被相続人が死亡したときに本来相続人となるはずであった人が既に死亡する等していた場合に、その子が代わって相続する制度をいい、新たに相続人となった者を代襲相続人といいます。
被代襲相続人が遺留分を放棄した後に亡くなった場合、代襲相続人はその地位を相続することとなるため、代襲相続人も遺留分を請求することができないこととなります。

②生前に放棄させるためには遺留分権利者に対し代償をする必要がある

後述しますが、生前に遺留分放棄をさせるためには、裁判所から許可を受けるために、放棄と引き換えの充分な代償の支払いをすることが重要です。
必ずしも支払わなければ許可されないということではありませんが、多くの場合、代償をすることになると考えられます。

遺留分を放棄する際の注意点

①被相続人の生前に遺留分を放棄する場合

生前の遺留分の放棄には、家庭裁判所の許可が必要となります。
これは、生前の場合、被相続人から遺留分権利者に対し、遺留分を放棄するよう不当な圧力がかけられる危険性があるためです。
本来、遺留分の放棄は、遺留分権利者による自由な意思によって行われなければならないため、不当な圧力等の可能性の有無を家庭裁判所が判断し、許可をされた場合に、遺留分の放棄をすることができます。

家庭裁判所による許可は、以下を基準に判断されます。

  • ⑴遺留分権利者の自由な意思によること
  • ⑵遺留分放棄の必要性や合理性が認められること

そして、⑵の必要性・合理性の有無の中で、「代償が行われているかどうか」が考慮されます。
代償が行われていない場合でも、その他の事情から必要性・合理性が認められ、許可されることもあります。
しかし、代償が行われている場合の方が必要性・合理性が認められやすくなり、遺留分の放棄が認められやすくなるため、代償の有無は重要な考慮要素といえます。

一方、相続開始後の遺留分放棄については、家庭裁判所の手続きは不要であり、遺留分権利者が他の相続人等に対し、遺留分を放棄する旨伝えれば、遺留分放棄が成立します。
その際は、証拠として残すために、書面で遺留分放棄の意思表示をすることをおすすめします。

②基本的に撤回をすることはできない

生前の遺留分放棄の場合、一旦家庭裁判所から遺留分放棄の許可が出た後は、原則として放棄の撤回をすることはできません。
例外的に、合理的な必要性が認められる場合は、撤回や取消をすることができますが、この際も再度家庭裁判所へ申立てをし、許可を得る必要があります。
また、相続開始後の撤回は、遺留分の放棄を前提として、既に相続人や遺贈を受けた者等に権利義務が既に発生しているため、安易にこれを認めると多くの人の権利関係を不安定にさせてしまうこととなります。
したがって、原則として認められません。
そのため、遺留分放棄をするかの判断は、慎重に検討してからすべきであるといえます。

相続財産についてのお悩みは浦本法律事務所におまかせください

弁護士 浦本与史学は、お客様にとって最適な解決策を見つけるために全力を尽くします。
丁寧にお話をうかがい、粘り強く突破口を探し、お客様と一緒に問題解決にあたっていくことが私の強みです。
相続財産に関するお悩みは、当職までお気軽にご相談ください。

浦本法律事務所が提供する基礎知識

  • 相続開始から申告までの流れ

    相続開始から申告までの流れ

    被相続人の死亡から相続税申告までには、相続財産の特定、財産評価額の算出、遺産分割協議、名義変更という過...

  • 生前贈与

    生前贈与

    Q.不動産を生前贈与をするためにはどんな書類を用意する必要があるのでしょうか? A.生前贈与をするこ...

  • 遺産の使い込み

    遺産の使い込み

    Q.他の相続人が遺産を使い込んでいることが発覚しました。どうすればよいでしょうか。 A.遺産の取戻し...

  • 遺留分侵害額請求権とは?

    遺留分侵害額請求権とは?

    「遺留分侵害額請求権」とは、被相続人の財産に対し、法律上、取得することが保障されている最低限の取り分で...

  • 遺産トラブルに関する相談を弁護士に依頼するメリット

    遺産トラブルに関する相...

    遺産トラブルに関する相談を弁護士に相談するメリットは大きいといえます。以下、メリットの一例をご紹介しま...

  • 相続人の範囲

    相続人の範囲

    法定相続人の範囲は、被相続人に配偶者がいたケースといなかったケースで場合分けするとわかりやすいです。 ...

  • 相続人の順位

    相続人の順位

    ■相続人の順位 配偶者は常に相続人となります。そして、子、直系尊属、兄弟姉妹については、優先順位に応じ...

  • 相続人に関する相談を弁護士に依頼するメリット

    相続人に関する相談を弁...

    ■正確な法律知識 相続人の確定の際には、法定相続の正確な知識が求められます。また、戸籍の調査などの慣れ...

  • 公正証書遺言

    公正証書遺言

    公正証書遺言とは、公証人に作成してもらう遺言のことをいいます。そして、作成された公正証書遺言の内容は公...

ページトップへ