公正証書遺言は、法的効力が強く、相続トラブルを防ぐ手段として多くの方に利用されています。
しかし、実際は「公正証書遺言にしたのにもめてしまった」というケースも少なくありません。
本記事では、公正証書遺言でもめる主な原因と、問題が起きた際の解決法について解説します。
公正証書遺言でもめるケース
公正証書遺言でも、以下のようなケースでは相続トラブルに発展することがあります。
- 遺留分の侵害によるトラブル
- 遺言者の判断能力に関する疑義(認知症など)
それぞれみていきましょう。
遺留分の侵害によるトラブル
遺言の内容が特定の相続人に偏っている場合、他の相続人の「遺留分」を侵害している可能性があります。
たとえば「長男にすべてを相続させる」といった内容の遺言では、他の兄弟や配偶者が不公平に感じ、不満からトラブルに発展することがあります。
遺言者の判断能力に疑いがある
遺言者が認知症を患っていた、または判断能力が著しく低下していた場合、「本当に本人の意思で遺言を作成したのか」を争点とするトラブルが起きやすいです。
たとえば、遺言の有効性そのものが疑われ、無効を主張されるケースがあります。
公正証書遺言でもめた時の解決法
公正証書遺言でトラブルが生じた場合の解決法として、以下の3つが挙げられます。
- 相続人間の話し合いによる解決
- 遺留分侵害額請求の行使
- 遺言無効確認訴訟の提起
それぞれみていきましょう。
相続人間の話し合いによる解決
相続人全員が合意すれば、公正証書遺言の内容とは異なる形で遺産分割を行うことも可能です。
話し合いが難航する場合には、弁護士などに交渉などを依頼し、協議を進めることで、感情的な対立を避けながら解決を目指せます。
遺留分侵害額請求の行使
遺言の内容によって相続人の遺留分が侵害されている場合、法的に定められた金銭を請求できる手段が「遺留分侵害額請求」です。
請求には期限があり、相続の開始と侵害の事実を知った日から1年以内に手続きを進めなければなりません。
遺言無効確認訴訟の提起
遺言者に認知症などの症状があった場合や、遺言の作成手続きに重大な不備があった場合には、家庭裁判所に対して遺言の無効を主張する訴訟を提起できます。
遺言が無効と判断されると、遺言の内容に関わらず、法定相続分に基づいて遺産が分割されます。
まとめ
今回は、公正証書遺言でもめるケースとその解決法について解説しました。
公正証書遺言は法的効力が高い一方で、遺留分の問題や作成時の状況によっては相続トラブルに発展することがあります。
相続の手続きに不安を感じている方や、実際にトラブルでお悩みの方は、弁護士へご相談ください。