何かのきっかけで兄弟姉妹と絶縁した場合、その兄弟姉妹との遺産相続はどのように進めたらよいのでしょうか。ここでは、絶縁した兄弟姉妹との遺産分割を行う方法などについて解説していきます。
目次
■1.絶縁した兄弟姉妹を省いて遺産相続できるか
遺産の分け方については遺言書がない限り、基本的に遺産分割協議で決めることになります。そして、遺産分割協議には、相続人全員が参加しなければなりません。たとえ絶縁状態にある兄弟姉妹や不仲な家族がいたとしても、遺産分割協議に参加しない者がいる場合、その遺産分割協議は無効となります。いわゆる絶縁状を送っていたとしても、法的な血縁関係は切れるわけではなく、相続人としての地位が失われるわけではないのでご注意ください。
■2.絶縁した兄弟姉妹と遺産分割を行う方法
絶縁状態の場合や不仲である家族がいたとしても、共に遺産相続を進めなければいけません。しかし、必ずしもお互い顔を突き合わせて話し合う必要はありません。
兄弟姉妹の連絡先を知っている場合、電話やメール、手紙などでやり取りを行う方法が考えられます。冷静な話し合いが期待できない場合や、話したくない場合などでは、別の兄弟姉妹に仲介してもらうのもよいでしょう。また、代理人として弁護士に依頼すれば、他の相続人との交渉や調停、審判の手続きも任せることができ、遺産分割協議書の作成なども依頼することができます。無用な争いを避けたい、調停や審判なども視野に入れた話し合いをしたい場合は、弁護士に相談することをおすすめします。
■3.絶縁した兄弟姉妹を相続人から除外できるケース
もし、絶縁した兄弟姉妹に「相続欠格事由」や「廃除事由」がある場合、その者を除外して遺産分割協議を行うことができます。
相続欠格は、例えば被相続人である親を殺害したり、遺言書を偽造したりするなど相続人にふさわしくない行為を行った者の相続権を失わせる制度です(民法891条)。相続廃除は、被相続人に対して虐待や重大な侮辱を与えるなどの著しい非行を行った者の相続権を、被相続人の意思によってはく奪する制度です(民法892条、893条)。いずれも単に相続人間に絶縁状態があるだけでは認められません。これらの制度を利用するのはかなりまれといえるでしょう。
■4.絶縁した兄弟姉妹の連絡先が分からない、あるいは行方不明となっているケース
絶縁状態の家族の所在が分からない場合、遺産相続に関する連絡が取れない場合が多々あります。絶縁状態の家族の居場所がわからない場合は、家庭裁判所に「不在者財産管理人の申し立て」をおこなうことになります。不在者財産管理人が選任され、不在者に代わって遺産分割を行う権限(権限外行為許可の申し立てを行う必要がある)もある場合、絶縁状態の家族がいない場合でも遺産分割をすすめることができます。
また行方不明となっている期間が7年以上の場合は、失踪宣告という方法もあります。
■まとめ
以上が、絶縁した兄弟姉妹との遺産相続の進め方です。仲の悪い家族で遺産分割について協議することは相続トラブルの原因となります。遺言書の作成も含め、相続トラブルが発生しないよう十分対策を行いましょう。
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